「ITパスポートって、本当に取る意味あるの?」「SNSで『意味ない』『無駄』って見るけど、実際どうなんだろう…」
そんな疑問や不安を抱えて、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
周りの意見に敏感で、貴重な時間やお金を効率的に使いたいあなたにとって、資格取得が本当にキャリアのプラスになるのかは、非常に重要な問題ですよね。特にIT分野への第一歩として注目されるITパスポートだからこそ、その価値を正確に知りたいと思うのは当然のことです。
この記事では、単に「意味がある」「意味がない」と結論づけるのではなく、
などを、IT分野の初学者にも分かりやすく、徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、あなたのモヤモヤは解消され、「次に何をすべきか」が明確になるはずです。
【なぜ?】ITパスポートが「意味ない」「無駄」と言われる5つの理由
まず、なぜITパスポートが「意味ない」「無駄」と言われてしまうのか、その背景にある主な理由を5つ見ていきましょう。これらの意見は、ある一面では事実です。ご自身の状況と照らし合わせながら、その理由を理解することが、適切な判断への第一歩となります。
理由1:難易度が低く、誰でも取れると思われているから
ITパスポートが意味ないと言われる最大の理由の一つが、その合格率の高さです。ITパスポートを運営するIPA(情報処理推進機構)の統計情報によると、合格率はおおむね50%前後で推移しています。
▼ITパスポート試験 合格率の推移(一例) (出典:情報処理推進機構(IPA)統計情報)
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度 | 248,335人 | 129,567人 | 52.2% |
2022年度 | 231,526人 | 119,485人 | 51.6% |
2021年度 | 211,043人 | 111,241人 | 52.7% |
受験者の半数が合格する国家資格というのは、確かに他の難関資格と比較すると「簡単」という印象を与えがちです。そのため、「誰でも取れる資格だから、持っていても希少価値がない」「ITパスポートを舐めてた
けど受かった」といった声に繋がり、結果として「意味がない」「ITパスポートはゴミ
」という極端な意見まで生まれてしまうのです。
理由2:「独占業務」がなく、資格がなくても仕事はできるから
世の中には、医師や弁護士、税理士のように「その資格がないと、その仕事に従事できない」という独占業務資格が存在します。
一方で、ITパスポートはこれに該当しません。この資格がなくても、プログラマーやシステムエンジニアとして働くことは可能です。そのため、「取得するITパスポートってなんのため
なの?」という疑問が生まれ、「持っていなくても仕事ができるなら、わざわざ時間をかけて取る必要はない」という意見が出てくるのです。
理由3:ITエンジニアの就職・転職では直接的な武器になりにくいから
あなたがもし、専門的なITエンジニアとしての就職や転職を目指している場合、残念ながらITパスポートだけでは決定的なアピール材料にはなりにくいのが現実です。
採用担当者がエンジニアに求めるのは、より実践的なスキルや開発経験、あるいは上位の資格(例:基本情報技術者試験、応用情報技術者試験)です。ITパスポートはあくまで基礎知識の証明であり、「この資格があるから採用しよう」と直接的な判断に繋がるケースは稀です。この点が「ITパスポートは就活では意味ない
」と言われる大きな要因となっています。
理由4:知識が広範囲かつ基礎的で「何に役立つ」か分かりにくいから
ITパスポートの試験範囲は、企業のIT戦略を考える「ストラテジ系」、IT管理について学ぶ「マネジメント系」、そして具体的なIT技術を扱う「テクノロジ系」と、非常に広範囲にわたります。
この「広く浅い」知識構造が、逆に「専門性がない」「結局ITパスポートは何に役立つ
のかイメージしづらい」という印象を与えてしまいます。例えば、プログラミングの深い知識が身につくわけでも、ネットワーク構築の専門家になれるわけでもありません。そのため、具体的なスキルアップを求める人にとっては、物足りなさを感じてしまうのです。
理由5:過去問の丸暗記だけで合格できてしまうから
ITパスポートはCBT方式(コンピュータを使った試験)で随時実施されており、過去に出題された問題と類似の問題が繰り返し出題される傾向があります。
そのため、市販の参考書やWebサイトでITパスポートの過去問
をひたすら周回し、解答を丸暗記するだけでも合格ラインに到達することが可能です。しかし、それでは本質的な理解には繋がりません。この「丸暗記で合格できてしまう」という事実が、「ITパスポートの過去問を解くことが意味のない
学習法でも、それで受かるなら、本当の知識は身についていないのでは?」という疑念を生み、「意味ない」という評価に繋がってしまうのです。
【本当の価値】それでもITパスポートは意味ない、とは言い切れない!取得のメリット

さて、ここまで「意味ない」と言われる理由を見てきましたが、それらは本当に全てでしょうか?もし本当に無価値な資格であれば、なぜ毎年20万人以上もの人々が受験するのでしょうか。
ここからは、ネガティブな意見の裏に隠された「ITパスポートの本当の価値」と、取得することで得られる具体的なITパスポートのメリット
を、成功例・失敗例を交えながらご紹介します。
メリット1:ITの共通言語が身につき、仕事のコミュニケーションが円滑になる
現代のビジネスにおいて、ITと無関係な職種はほとんどありません。営業、企画、マーケティング、経理…どんな仕事でも、ITシステムやツールを使い、エンジニアと連携する場面が必ずあります。その時、ITの基礎知識、つまり「共通言語」を知っているかどうかが、仕事の質を大きく左右します。
【成功例】非IT職・企画職Aさんのケース
Aさんは、新しいWebサービスの企画を担当していました。以前は、エンジニアから「ここのAPI連携は仕様上難しいです」「DBの正規化が必要なので工数がかかります」と言われても、意味が分からず「専門用語ばかりで話が進まない…」と悩んでいました。
しかし、ITパスポートの勉強で、APIやデータベースの基本的な仕組みを学んだことで、エンジニアの言葉が理解できるようになりました。ただ「できません」で終わらせず、「では、この方法なら技術的に可能ですか?」と代替案を提示できるようになり、プロジェクトが驚くほどスムーズに進むようになったのです。
このように、ITパスポートの知識は、職種を超えた円滑なコミュニケーションの潤滑油となるのです。
メリット2:国家資格としての信頼性と、学習意欲の客観的な証明になる
ITパスポートは、経済産業省が認定するれっきとした国家資格
です。これは、あなたのIT知識が国によって一定水準にあると証明されることを意味します。
特に、IT業界未経験で就職・転職活動をする若者にとっては、この「国家資格」という肩書きが強力な味方になります。多くの企業の人事担当者は、ITパスポートを「ITへの興味関心と、自ら学ぶ姿勢(学習意欲)の客観的な証明」としてポジティブに評価します。
「ITパスポートは就活では意味がない
」という声もありますが、それはあくまでエンジニア採用での話。総合職や、未経験者歓迎の求人においては、「ITアレルギーがない」「入社後の成長が期待できる」というポテンシャルを示す上で、十分に価値のある資格なのです。
メリット3:ITリテラシーが向上し、情報社会の危険から身を守れる
私たちは日々、フィッシング詐欺、ウイルス、不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威に晒されています。ITパスポートの学習範囲には、これらの情報セキュリティやコンプライアンスに関する内容が豊富に含まれています。
- 「このメールの添付ファイルは開いてはいけないな」
- 「このWebサイトは怪しいから個人情報を入力するのはやめよう」
- 「会社のPCでフリーWi-Fiに接続するのは危険だ」
こうした判断が瞬時にできるようになることは、自分自身を守るだけでなく、会社の重要な情報を守る上でも不可欠なスキルです。ITパスポートの学習は、現代社会を生き抜くための「デジタル護身術」を身につけることと同義なのです。
メリット4:より上位のIT資格へ挑戦するための土台知識が固まる
ITパスポートが「IT資格の登竜門」と呼ばれるのには理由があります。その広範な学習範囲は、より専門的な上位資格である「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」へステップアップするための完璧な土台となるからです。
ITパスポートとは
何か、ITパスポートはどんな資格
かと問われれば、「ITの世界地図を手に入れるための資格」と言えるでしょう。いきなり専門分野の学習を始めるのは大変ですが、まずはITパスポートで全体像を掴むことで、自分がどの分野に興味があるのかを見極め、効率的に次のステップへ進むことができます。
【失敗談】「とりあえず」で取ると無駄になるケースも
一方で、ITパスポートの価値を活かせず、「ITパスポートは無駄
だった」「ITパスポートはいらない
かも」と感じてしまう人がいるのも事実です。
【失敗談】目的が曖昧だったBさんのケース
Bさんは、周りが取っているからという理由で、特に目的もなくITパスポートを受験し、合格しました。しかし、就職活動の面接で「なぜこの資格を取ったのですか?」「学んだ知識をどう活かしたいですか?」と質問された際、具体的なエピソードを何も語ることができませんでした。
結局、履歴書に一行書いただけの「飾りの資格」となってしまい、「あの勉強時間は、もっと自己分析や企業研究に使うべきだった…」と後悔することになったのです。
この事例が示すように、ITパスポートが「意味ない」ものになるかどうかは、取得すること自体ではなく、「何のために取得するのか」という目的意識にかかっています。
【自己診断】あなたはどっち?ITパスポート資格取得に向いてる人・向いていない人

では、これまでの話を踏まえて、あなたにとってITパスポートは本当に必要なのでしょうか。ここで一度立ち止まり、自己診断をしてみましょう。
ITパスポートの取得を強くおすすめする人の特徴
以下に一つでも当てはまるなら、ITパスポートの学習を始める価値は非常に高いと言えます。
- これからIT業界を目指す学生・第二新卒の方
- 業界への興味・関心を示す最初の一歩として最適です。
- 営業・企画・経理など、非IT職のビジネスパーソン
- エンジニアとの共通言語を身につけ、業務効率を格段にアップできます。
- 社会人として最低限のITリテラシーを身につけたいと考えている全ての人
- 情報セキュリティなど、自分と会社を守るための必須知識が得られます。
- 将来的に、基本情報技術者試験などの上位資格を目指したい人
- IT学習の入門として、知識の土台を固めるのに役立ちます。
ITパスポートは「意味ない」かも?取得を一度立ち止まって考えたい人
一方で、以下のような方は、ITパスポートの取得が最適な選択ではないかもしれません。他の選択肢を優先することを検討してみましょう。
それでも迷うなら…「ITパスポートの価値」を最大化する学習法
もしあなたが「取得した方が良さそうだけど、本当に活かせるか不安…」と感じているなら、学習方法を工夫することで、その価値を何倍にも高めることができます。
ポイントは、ITパスポート過去問
の単なる丸暗記で終わらせないことです。
- 用語を自分の言葉で説明してみる
「IoTってつまり何?」「クラウドってどういう仕組み?」といった用語を、ITに詳しくない友人や家族に説明するつもりで、自分の言葉にしてみましょう。 - 自分の仕事や生活と関連付ける
学んだセキュリティ知識が、普段使っているSNSのリスク管理にどう繋がるか。データベースの知識が、Excelのデータ整理にどう応用できるか。常に実生活と結びつけて考える癖をつけましょう。
この2つを意識するだけで、知識は単なる暗記情報から、実践で使える「生きた知恵」へと変わります。
「ITパスポートは意味ない」と感じた人が次に見るべき選択肢
自己診断の結果、「自分にはITパスポートは合わないかもしれない」と感じた方もいるでしょう。それは決してネガティブなことではありません。自分に合った正しい道を見つけるための、重要な一歩です。ここでは、そんなあなたが次に見るべき選択肢をいくつかご紹介します。
より専門性を高めたいなら:ITパスポートと比較したい資格
- 基本情報技術者試験
ITパスポートの上位資格。エンジニアとしてのキャリアを目指すなら、まず目標にすべき資格です。プログラミングに関するアルゴリズムの問題など、より技術的な内容が問われます。 - MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
WordやExcelなど、Officeソフトの実践的なスキルを証明する資格。事務職や営業職など、資料作成スキルが求められる職種で直接的に役立ちます。 - 各種ベンダー資格(AWS認定など)
Amazon Web Servicesなど、特定の製品やサービスに関する専門知識を証明する資格。クラウドエンジニアなど、専門分野でのキャリアを築きたい場合に強力な武器となります。
実践的なスキルを最速で身につけたいなら
資格という形にこだわらず、とにかく「作れる」スキルを身につけたいなら、以下の方法がおすすめです。
- プログラミングスクールの活用
体系的なカリキュラムとメンターのサポートのもと、短期間で集中的にプログラミングスキルを習得できます。ポートフォリオ制作や転職サポートが充実しているスクールも多いです。 - オンライン学習プラットフォームの利用
UdemyやProgate、ドットインストールといったサービスを使えば、自分のペースで、かつ低コストでWeb制作やプログラミングを学ぶことができます。
キャリアの方向性そのものに悩んでいるなら
「どのスキルを身につけるべきか、どんなキャリアを目指すべきか、根本的に分からない…」という場合は、一人で悩まず専門家の力を借りましょう。
- IT業界に強い転職エージェントへのキャリア相談
プロのキャリアアドバイザーが、あなたの経歴や希望をヒアリングし、市場の動向を踏まえた上で最適なキャリアプランを一緒に考えてくれます。無料で相談できるサービスも多いので、情報収集の場として活用するのも一つの手です。

まとめ
ITパスポートが「意味ない」かどうかは、他人の評価で決まるものではありません。あなたの現在の状況と、これから目指す未来の目標によって、その価値は大きく変わります。
この資格は、それ単体で年収を上げたり、転職を成功させたりする魔法の杖ではありません。しかし、変化の激しい現代社会、そしてITが全てのビジネスの基盤となったこの時代において、自分の現在地を知り、進むべき道を見定めるための「地図」と「コンパス」を手に入れるための、最も優れた第一歩であることは間違いありません。
この記事を読んで、あなたの進むべき道は見えてきたでしょうか。
まずは、公式サイトで試験の概要やスケジュールを確認してみましょう。
>> IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:ITパスポート試験
次に、自分に合った参考書や学習サイトを見つけて、具体的な学習計画を立ててみてください。
>> ITパスポート過去問道場