キャリアコンサルタントを目指す上で、多くの方が最初に突き当たる壁が「実務経験」の条件です。「自分の営業経験は実務経験として認められるのだろうか?」「人事としての面談経験は、どう証明すればいいの?」といった疑問や不安を抱えていませんか?
公式サイトの説明を読んでも、専門的な言葉が多くて自分のケースに当てはまるのか判断しにくい、と感じる方も少なくありません。
この記事では、国家資格キャリアコンサルタントの受験資格である「実務経験」について、公式サイトよりも分かりやすく、営業職や人事担当者といった職種別の具体例を交えながら徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、ご自身の経験が受験資格に該当するかが明確になり、資格取得に向けた次のステップを踏み出せるようになっているはずです。
そもそもキャリアコンサルタントの受験資格とは?2つのルートを解説
まず、キャリアコンサルタントになるための基本的な受験資格を確認しましょう。ルートは大きく分けて2つあります。ご自身がどちらに当てはまるのか、またはどちらを目指すべきかを把握することが最初のステップです。
①【実務経験ルート】3年以上の実務経験を積む
1つ目は、キャリアコンサルティングに関連する実務経験が3年以上ある方が対象のルートです。この記事のメインテーマであり、多くの方が「自分の経験はこれに当てはまるのか?」と悩むポイントです。どのような経験が対象となるかは、後ほど詳しく解説します。
②【養成講習ルート】厚生労働大臣が認定する講習を修了する
2つ目は、実務経験の有無にかかわらず、厚生労働大臣が認定する「養成講習」を修了することで受験資格を得るルートです。講習は合計150時間で、オンラインと通学を組み合わせたコースが主流となっています。
実務経験がない・足りないと感じる方は養成講習ルートがおすすめ
もしご自身の経験が実務経験の基準に満たない場合や、自信がない場合でも、この養成講習ルートがあるため心配は不要です。むしろ、キャリアコンサルティングの知識とスキルを体系的に学べるため、多くの方がこのルートで資格取得を目指しています。
【徹底解説】受験資格となる「実務経験」の具体的な基準と職種例
「実務経験」と一言で言っても、その範囲は広く、解釈が難しい部分です。試験機関のサイトでは「職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関する相談に関し3年以上の経験」と定義されています。
ここでは、この内容を3つの要素に分解し、具体的な職種例と共に分かりやすく解説します。
判断基準①:「労働者の職業の選択」に関する相談・支援経験
これは、仕事を探している人やキャリアチェンジを考えている人に対して、職業選びのサポートをした経験を指します。
- 人材紹介会社でのキャリアアドバイザー業務
- 人材派遣会社でのコーディネーター業務
- 大学のキャリアセンターでの学生への就職相談
- 企業の採用担当者(人事)としての面接・相談業務
- ハローワークや地域若者サポートステーションでの就労支援
判断基準②:「職業生活設計・職業能力開発」に関する相談・支援経験
これは、既に働いている人に対して、今後のキャリアプランやスキルアップのサポートをした経験を指します。
- 企業の人事部での社員キャリア面談、研修企画・運営
- 管理職としての部下との1on1面談(目標設定、評価フィードバック)
- IT業界でのプロジェクトマネージャーによるメンバーのスキル育成面談
- 社内カウンセラーとしての従業員へのキャリア相談
- 教育・研修会社でのキャリア開発プログラムの提供
判断基準③:①と②に準ずる経験
- 労働組合での組合員への労働・キャリア相談
- 公的機関での生活困窮者自立支援における就労相談
- ボランティア活動としての若者へのキャリア相談
- ファイナンシャルプランナーとしてのライフプランに付随するキャリア相談
- 高校や専門学校での進路指導担当
上記に直接当てはまらなくても、実質的にキャリアに関する相談・支援と認められる経験も含まれます。
【専門家の見解】実務経験の判断に迷った際の考え方
<現役キャリアコンサルタント A氏のコメント>
「大切なのは、業務の中に『相手のキャリアを主体的に考え、対話を通じて気づきや成長を促す』という要素が含まれているかどうかです。単なる業務指示や事務手続きではなく、相手の将来を見据えた相談・支援経験があったかが判断の軸になります。」
【職種別】私のこの仕事は実務経験になる?ケーススタディQ&A
読者が自身の経験と照らし合わせやすいように、具体的な業務内容をQ&A形式で解説します。「これって実務経験になるの?」という疑問をここで解消しましょう。
【営業職の例】顧客との商談や部下の営業指導は認められる?
A. 内容によります。OK例とNG例を見てみましょう。
- NG例:
- 単なる商品・サービスの提案や販売活動
- 売上目標達成のための部下への進捗管理や指示
- OK例:
- 部下のキャリアプランを考慮した目標設定面談や育成計画の策定
- 顧客企業の担当者から「今後のキャリア」について相談され、情報提供やアドバイスを行った経験
【人事・総務職の例】採用面接や労務管理の経験はどこまでが対象?
A. 「相談・支援」の要素があるかがポイントです。
- NG例:
- 給与計算や社会保険手続きといった定型的な事務作業
- 会社のルールを一方的に説明するだけの労務管理
- OK例:
- 採用面接で応募者のキャリアビジョンをヒアリングし、自社での実現可能性について対話した経験
- 従業員の配置転換や異動に関して、本人の意向やキャリアプランをヒアリングする面談
【IT・エンジニア職の例】プロジェクトリーダーとしてのメンバー面談は?
A. 認められる可能性が高いです。
- OK例:
- プロジェクトメンバーのスキルアップや今後のキャリアパスについて、定期的な1on1ミーティングで話し合った経験
- メンバーの希望をヒアリングし、次のプロジェクトのアサインを検討した経験
【その他】ボランティアや副業での相談経験は実務経験になる?
A. なります。実務経験は雇用形態や有償・無償を問いません。 内容が前述の基準を満たしていれば、NPO法人でのキャリア支援ボランティアや、副業(プロボノ※)として行っているキャリア相談も立派な実務経験として申告できます。
※プロボノ:専門的なスキルや経験を活かして行う社会貢献活動のこと。
「実務経験なし」でも大丈夫!キャリアコンサルタントを目指す最短ルート
「自分の経験では実務経験の基準を満たせそうにない…」と感じた方もご安心ください。キャリアコンサルタント受験者の多くは、養成講習ルートを選択しています。実務経験がなくても、キャリアコンサルタントを目指す道はしっかりと用意されています。
最短ルートは「厚生労働大臣認定の養成講習」の受講
実務経験がない方にとって、最も確実で最短のルートが養成講習の受講です。
- 講習の概要: 講義と演習を合わせて合計150時間。理論だけでなく、カウンセリングのロールプレイングなど実践的なスキルも学びます。
- 期間・費用: 約3ヶ月〜6ヶ月。費用は30万円〜50万円程度が相場です。(※専門実践教育訓練給付金の対象となる場合が多く、条件を満たせば費用の最大70%が支給されます)
- 【体験談】養成講習で得られたこと(成功例):
営業一筋だったBさんは、講習で人事や教育担当者など多様なバックグラウンドを持つ仲間と出会い、視野が大きく広がったそうです。ロールプレイングを通じて、自分自身のコミュニケーションの癖に気づき、体系的な知識と実践スキルを身につけたことで、資格取得後、自信を持ってキャリア支援に臨めるようになりました。
今から実務経験を積むための3つのアクション
もし、どうしても実務経験ルートで受験したい場合は、これから経験を積むという選択肢もあります。
- 現職でキャリア支援に関わる機会を増やす: 後輩のメンターに立候補する、上司に1on1の実施を提案するなど。
- キャリア支援に関連する部署への異動を希望する: 人事部や人材開発部など。
- 副業やプロボノ、ボランティアで経験を積む: NPOのキャリア相談員など。
意外と知らない?実務経験の証明方法と申請時の注意点
実務経験があると自己判断できても、それを客観的に証明できなければ受験資格として認められません。ここでは、申請手続きの具体的な方法と、見落としがちな注意点を解説します。
必要書類「実務経験証明書」の書き方とポイント
受験を申請する際には、職務経歴をまとめた書類に加えて、在籍(元)企業による「実務経験証明書」の提出が必要になる場合があります。
- ポイント① 具体的に書く: 「部下の指導」のような曖昧な表現ではなく、「部下のキャリアプランに基づいた目標設定面談を月1回実施」のように、誰が読んでも内容がわかるように記述します。
- ポイント② 期間を明確にする: その業務にいつからいつまで、どのくらいの頻度で従事していたかを明記します。
- ポイント③ 証明者を確認する: 原則として、所属長や人事部長などの署名・捺印が必要です。事前に誰にお願いするかを確認しておきましょう。
【失敗例に学ぶ】申請でつまずかないための注意点
- 失敗例1:記述が抽象的すぎた 「部下のマネジメント」とだけ記載したため、キャリア相談の経験と判断されず、書類が差し戻しになった。
- 失敗例2:在籍期間と実務経験期間を混同した 会社に10年いても、キャリア相談に関わる業務を始めたのが4年前であれば、実務経験は「4年」です。この計算を間違えないようにしましょう。
- 失敗例3:証明者の署名がもらえなかった 退職した会社との関係が悪く、証明書の署名を依頼しづらいケース。早めに依頼の相談をすることが重要です。
退職済みの場合や証明者がいない場合はどうする?
やむを得ない事情で証明印がもらえない場合は、**第三者(キャリアコンサルタントなど)による「実務経験に関する申立書」や、ご自身の詳細な職務経歴書で代替できる場合があります。**諦める前に、必ず受験する試験機関に直接問い合わせて確認しましょう。
まとめ:自分のキャリアを棚卸しして、次の一歩を踏み出そう
本記事では、キャリアコンサルタントの受験資格である「実務経験」について、具体的な基準から証明方法、経験がない場合の対処法まで網羅的に解説しました。
最後に、この記事の内容を振り返り、あなたが次にとるべきアクションを整理しましょう。
- 本記事のポイントの要約
- 受験資格には「3年以上の実務経験ルート」と「養成講習ルート」がある。
- 実務経験は「相手のキャリアを主体的に考えた相談・支援」の経験が重要。
- 人事や営業職でも、部下面談や顧客への提案の中で対象となる経験が見つかる可能性がある。
- 経験がなくても養成講習を受講すれば、誰でも受験資格を得られる。
最初の一歩は「自分の経験の棚卸し」から
まずはご自身のこれまでのキャリアを振り返り、本記事で紹介した具体例と照らし合わせてみましょう。「これは実務経験になるかも?」と思える経験が、きっと見つかるはずです。
迷ったら養成講習の「無料説明会」に参加してみるのも一手
「自分の経験で本当に大丈夫か不安…」「養成講習についてもっと詳しく知りたい」 もし少しでも迷いや不安があれば、まずは各スクールが実施している養成講習の無料説明会や個別相談会に参加してみることを強くおすすめします。
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